はじめに
といいつつ野暮ですがなんとなく書き連ねたくなったのでそのようにします。はじめに言っておくとDJ論ではございません。語りができるレベルにはないので…
なんでこんなTweetをしたかというと長年クラブとアニクラの間に隔たりを感じることもしばしばあり、そこらへん両方DJ、お客として経験した自分の考えをなんか吐き出して整理してみようかな~というそんな感じの記事になっております。
使っている機材は同じだけどDJのやること、求められるもの、客層の違いとかをつらつら書き連ねていきます。クラブに行ったことのないアニクラ勢やアニクラに行ったことのないクラブ勢に互いの文化の違いに少しでも興味を持っていただければ幸いです。
※ 全てにおいて例外があるため、異論反論はあるかと思いますが一個人の呟きとして穏便にふーんそっか~程度に処理していただけると助かります。
クラブとアニクラの違い
クラブ | アニクラ | |
イベントの内容 | ジャンル別(ハウス系等)に開催されることが多い。 | テーマ別(ボカロオンリー、女性声優オンリー等)に開催されることが多い。 |
お客が求めるもの | このジャンルで知らない曲を含めいい曲を聞きたい。 | 知っている曲を中心に聞きたい人が多め。もちろん知らない曲を掘りに来る人もいる。 |
DJの持ち時間 | 50分~90分位 | 25分~45分位 |
1曲の長さ | 3~9分程度 | 1~4分程度 |
DJのMIX方法 | 16~64小節あたりのショート~ロングMIXが多め。 | 0,4~8小節あたりのカットイン、アウト、フェードイン、アウトが多め。 |
セットリスト | イベントの内容に沿って幅広く楽曲が組まれる。 | イベントの内容に沿いつつも作品、作曲家、声優、楽曲名などで文脈をつくり組まれることがある。 |
オーディエンス | 基本フロアでゆらゆら動いていることが多い。見切りを付けられると二度と現れなかったりする。 | 聞きたい曲がかかるとフロアに飛んでくる。そうでない曲がかかるとまた戻ったりする。たまにずっと居てくれる人もいる。 |
BPM | 基本セトリで大きくは上がり下がりせず、テンポを前の曲に合わせて繋ぐ。 | セトリによってある程度上下する。マスターテンポはほぼいじらず原曲BPM遵守で繋ぐことが多い。 |
DJの役割 | お客を盛り上げる | お客を盛り上げる |
イベントの内容
基本的にクラブはジャンル別にイベントが開催されることが多いです。ハウス、テクノ、ハードコアなどなど。偶にクラブの周年記念とかになるとオールジャンルになったりもします。
一方アニクラはなんかしらのテーマが決まっていることが多いです。ボカロ、女性声優、ノンタイアップ楽曲、コンテンツオンリーなどなど。基本的にそのテーマが好きなお客が集まってみんなで好きな曲聞くぞ!的なコンセプトが多いかと思います。
お客が求めるもの
クラブは基本的に自分の好きなジャンルの良い曲、知らない曲を聞きたい!と思ってくる方がほとんどではないかと思います。他には好きなDJさん目的でその人の作曲した曲をデカい箱で聞きたいという方もいると思います。
一方、アニクラは知ってる曲やブチ上がる曲を聴きに来ている人が多い印象です。これはアニソンには「回収」という文化があるのが大きく関わっているのではないかと思います。
回収とは…ライブなどで聞きたい曲が聞けたときに使うスラングみたいなもの。
といいつつもアニクラにももちろん知らない良い曲を掘りに来ている人もおりますため、全てがそのようなお客さんではないことに注意です。
稀にコスプレをして参加している方がいらっしゃるときはそのキャラが出ているアニメの曲を流すと喜ばれたりします。
DJの持ち時間、一曲の長さ
クラブは平均60分前後に比べ、アニクラは40分前後が多い印象です。これは一曲のかける長さやMIXの違いなどからこのような時間割になっているかと思います。もちろんアニクラでも1人60分超えるTTなんかもたまにあったりしますし、クラブでもスピードコアのDJさんなんかは持ち時間20分とかもあります。
DJのMIX方法
自分がアニクラで初めてDJ見たとき衝撃的だったのが、みんな一曲1:30位の短いスパンでバシバシカットインやフェードイン決めて繋いでいくんですよね。これはDJなのか?と驚きましたが今ではまぁ当たり前よねと言う感じです。
一方クラブDJはEQを微調節しできる限り違和感なくショート、ロングMIXにて次々へと繋いで展開させていく形がほとんどです。
なのでクラブDJからすると「アニクラみんな短い分数でカットインとか決めまくるこわい無理」
アニクラDJからすると「なんでそんな長いMIXで音ずれないの?繋ぎ目わからん」
みたいな感じじゃないかと思います。これはもうカルチャーの違いですね。慣れます。
セットリスト
クラブはもちろんテーマのジャンルを中心に、アニクラもそのときのテーマを中心に曲がかかるかと思います。ただアニクラではテーマに沿ってもRemix verとかかけると若干冷える傾向にある気もします。流すならRemixイベとかでやると良いかも。アニクラは基本原盤主義的なところが少なからずはあると思います。
またクラブにはあまりない文化で文脈繋ぎみたいなのがあったりします。原作者繋ぎ、作曲者繋ぎ、キャスト繋ぎ、タイトル繋ぎetc、ここらへんがアニクラDJの個性が垣間見える楽しいところでもあります。
オーディエンス
クラブではお酒飲みながらゆらゆらフロアで揺れてくれる人が居たり、気に入らなかったらそのまま戻ってこないお客さんがいたりするんですがアニクラは割りとフロアの出入りが激しかったりします。
好きな曲が流れるとかっ飛んで来る人、ヲタ芸打ちに来る人、別の曲になった瞬間シューっと後ろに下がってまた別の人が飛んできたりと動きが激しいです。もちろんずっと前方で絶えず動いている人も居たり、ゴリゴリShazamかけてずっと曲を掘っている方も居ます。
なのでフロアでいかに気持ちよく動いて盛り上がってもらうかを考えるのは両者変わりませんが、選曲のベクトルは違うものとしてある程度考える必要があるかもしれません。
個人的にはですがクラブは起承転結で組み立てて「起承転」で右肩上がりの末、「結」でどのような空気に持っていきたいか、など考えたりしますがアニクラは起承転結の全てでフロアに「刺さりそう」な楽曲を逐一挟めていく感じで組んだりします。
BPM
クラブは基本一定で上下5bpm前後は流れで変わるでしょうか。ハウス系なら128~130bpm、ハードダンス系なら150~155bpm等。
アニクラはセトリによりある程度上下しつつ130から始まって終わり近くには180とかなっていることもあります。もちろん例外もあり同bpm帯でまとめてセットリストを作成される方もおられます。
これはアニソンが一定のBPMでDJすることが大変難しい(できなくはないが掛けられる曲がかなり限られ組みづらい、展開させづらい等)ためある程度は上下する傾向にあります。ただ120-180-120みたいな極端なアップダウンはなく、フロアがずっこけない程度の上下と考えていただければ大丈夫です。
またアニクラではテンポフェーダーを大きくいじることはなくほぼほぼ原曲と同じ、もしくは近いBPMで曲を繋ぐことが多いです。
DJの役割
結局来ていただいたお客を盛り上げるのが両者変わらぬDJの役割なのでもっとアニクラDJもクラブDJも交流が盛んになっていろんな知識や技術を共有できればいいなという感じです。
なんかしら両方のカルチャーについて面白さを感じていただき、自分の好きな楽曲のジャンルが流れるクラブや、自分の好きなコンテンツが流れるアニクラなど、ちょっとでも今度イベント行ってみようかな~と思っていただけたら幸いです。
おわりだよ~